日本列島を自転車で縦断走破中-19歳・石井順さんが鹿児島入り

19日朝、元気に鹿児島市を出発する石井さん。

19日朝、元気に鹿児島市を出発する石井さん。

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 東日本大震災をきっかけに自転車での日本列島縦断を思い立ち、チャレンジ中の石井順さん(19)が8月18日に鹿児島入りし、翌19日には九州最南端・佐多岬を目指して鹿児島市を出発した。

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 8月1日に東京を出発した石井さんは、国道1~3号線沿いに静岡、愛知、大阪、岡山、山口などを経て九州に入った。佐多岬到着後いったん東京へ戻り、すぐに北海道最北端・宗谷岬を目指して太平洋沿岸部を北上、早ければ9月上旬にも総走行距離約3000キロに及ぶ日本列島縦断走破を果たす予定。

 3月、茨城県久慈郡大子(だいご)町の実家付近は被災。「(他の地域に比べれば)たいしたことはなかった」が、それでも「約1カ月近く実家へは帰れなかった」という。公共交通機関の復旧後、水戸から4時間近くかけて自転車で帰った。その後は、地元で瓦屋を営む実家の手伝いで被災家屋の復旧工事に明け暮れる日々が続いた。

 電気、水道などのライフラインが寸断された自給自足の生活の中、「負けたくない」という思いが石井さんの中で頭をもたげてきた。以前から考えて実行に移せていなかった、大好きな自転車による「日本列島縦断」の夢を、「今こそかなえなければ」と、「何かに突き動かされるように」家を飛び出した。周到な計画を立てたわけでもなく、資金のめどもほとんどないままチャレンジが始まった。

 点と線で結ばれただけの地域を、自転車は自らがぺダルをこぐことだけで一つにしてくれる」と石井さん。「浜松から京都までは2人のアメリカ人男性と同行した。ベルギーの女子大生や、職をなくして高知の実家へ帰る途中の男性との出会いもあった。炎天下でのさまざまな人や価値観との出会いを日焼けした顔で振り返る。

 岡山では野宿をしようと適当な場所を探していると、親切な人に声を掛けられ、ラーメンをごちそうになった。翌朝、枕元には『がんばれ』と記されたメッセージカードが添えられた差し入れが。下関では財布をなくしたが、気軽に助けてくれる人がいた。熊本県南部芦北の三太郎峠ではくじけそうになる自分に繰り返し「負けるな」と大声で叫びながらいくつもの山を越えた。鹿児島でも温かく彼を迎えてくれた若者たちとの交流があった。当初は息子の「無謀」とも言えるチャレンジに心配し大反対していた家族も、今は応援してくれているという。

 「『こんにちは』とこちらから声をかけ、相手が『こんにちは』と振り向いてくれるところから人間関係は成り立つことを学んだ」と笑顔で話す石井さん。

 現在、明治大学文学部で学ぶ19歳。静岡県伊豆市が主催し、若者のアイデアで誘客を図り伊豆をブランディングしていこうという試み「伊豆ビジネスコンテスト」への応募が縁で、伊豆市公認サークル「Sizu(サイズ)」の創立メンバーでもある。将来は「旅をする人々をサポートする仕事に就きたい」と夢を語る。

 地図を持たない石井さんのチャレンジは続く。

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