鹿児島市の旅行会社「霧島観光社」（鹿児島市西千石町）が催行している「1万円ぽっきりバスツアー」が10年目を迎え、このほど20弾目となる新企画概要が決まった。

　同ツアーは2002年、同社保有の大型観光バスの有効活用を目的として企画された。鹿児島市を起点として圏内の各観光地を周遊するもので、1泊2日（2食付き）で1万円という格安の料金設定とツアー内容が人気を呼んでいる。

　「昨今の不況も重なり、催行率（企画されたツアーが実施された割合）は平均30％程度」（旅行業関係者）の中にあって、同ツアーは1企画（100回）で70％（１回当たりの参加者約40人）以上実施されているという。

　同社営業部長の田川和往さんは「このツアーを立ち上げた当時は、料金の余りの安さに『大丈夫？』と半信半疑のお客さまも多かった。しかし、リピーターとして固定客化。今ではグループ企業総売上高の10％を占めるほどの看板商品に育った」と胸を張る。

　鹿児島の観光は、3月の九州新幹線全線開業に伴い対前年比30％強増を続けており、官民一体となった観光キャンペーンが繰り広げられている。一方、関係者は「現況が一過性のものになってはいけない」と、継続的に観光客を集められる魅力的な新しい観光資源の開発にも取り組み始めている。

　田川さんは「この企画が受け入れられ、10年間続けられたのは、企画にこだわり、夕食後に宴席を設け添乗員が余興を演じるなど、創意工夫を重ねてきた結果。そうした中で、お客さま一人ひとりとのふれあいを通じて行き届いたサービスを提供できてきたからでは」と振り返る。「新幹線で全国から鹿児島を訪れた観光客が、鹿児島市を起点としてバスで各地を巡るとい新しい観光の形もあるのでは」とも。

　同社では10月に入ってから、記念すべき20弾目として「佐賀武家屋敷を巡るツアー」を実施する。