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「朗読によるクリスマス・キャロル」出版-ディケンズの魅力、鹿児島から全国へ

鹿児島大学・井原慶一郎さんが「クリスマス・キャロル」の朗読版・完全訳を出版。

鹿児島大学・井原慶一郎さんが「クリスマス・キャロル」の朗読版・完全訳を出版。

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 鹿児島大学法文学部准教授の井原慶一郎さんが、2012年に生誕200年を迎えるイギリスの国民的作家、チャールズ・ディケンズの代表作「クリスマス・キャロル」の朗読版・完全訳を出版。その出版記念パーティーが11月25日、鹿児島市の文学サロン「月の舟」(鹿児島市中町)で開かれた。

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 パーティーには、出版関係者をはじめ、鹿児島の文学愛好者や、鹿児島大学の学生たちなどが参加。冒頭、出版を企画したK&Yカンパニーの三嶽豊社長が、編集者として「こだわりのある本に仕上がった」と同書を紹介。続いて井原さんが関係者に感謝の言葉を述べた後、印刷・製本にあたった濱島印刷の前田幸一社長があいさつに立ち、「注文の多かった本で苦労もあったが、それぞれの力が結集した成果」と話した。その後、井原さんと親交の深い音楽バンド「アメタ食堂」の演奏と唄「海と桜」などが披露され、和やかな雰囲気の中、参加者たちが出版を祝った。

 今回の朗読版「クリスマス・キャロル」は、1843年に出版されたオリジナル版を作者であるディケンズ自身が自らの公開朗読のために縮約したもの。500回近い公演の中でディケンズが最も得意とした演目だった。

 訳者である井原さんは広島大学大学院博士課程修了後、1998年10月から鹿児島大学に赴任。専門は英文学と表象文化論。英文学では、特にディケンズの研究を行っているが、高校までは「夏目漱石や太宰治など日本文学を中心に読んでいた」という。広島大学入学後、植木研介教授(現名誉教授)との出会いがディケンズ研究を始める契機となった。

 「イギリスの俳優サイモン・キャロウが舞台で読んだ朗読の雰囲気を、そのまま日本語に移し替えしてみたかった」と翻訳の動機を語る井原さん。「大学時代、テキストの徹底した読み込みをしたことが今につながっている。声に出して読むディケンズ文学の魅力を、この翻訳によって少しでも伝えることができれば」とも話す。

 2004年に初めて「クリスマス・キャロル」の朗読会を開いた後、「いつかは出版したい」と考え、研究室のホームページに訳文の一部を掲載していた。その井原さんの朗読版「クリスマス・キャロル」の訳文を見つけたのが三嶽さんだった。三嶽さんが井原さんにメールで企画出版の話を持ち掛けたのが今年の7月。翌月には編集方針が決まった。デザイナーとして村山淳さんを起用、装丁を依頼した。三嶽さんは「朗読する人の立場で本づくりを進めた。文字の種類、大きさ、行の間隔などに工夫を加えた。漢字には全てルビ(読み仮名)を付けたが、その付け方にもこだわって編集した。朗読台本としても使える」と胸を張る。訳文についても、井原さんと三嶽さんの間で話し合いを重ねたという。巻末には声に出して読むディケンズ文学の魅力について解説した「訳者あとがき」(15枚)を添えた。

 井原さんは「装丁を監修できたのは鹿児島の出版社だからこそ。研究者ならではの視点を盛り込むことができた。この本を全国の朗読会などで使ってもらえれば」と話している。

 12月17日15時~17時、「月の舟」で鹿児島純心女子高等学校放送部による「クリスマス・キャロル」の朗読会も予定する。

 仕様はA5判112ページ。価格は1,050円。問い合わせはK&Yカンパニー(TEL 099-295-3816)まで。

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