鹿児島県のかごしまPR課が主導する「本格焼酎新商品提案プロジェクト」が3月30日、県内焼酎メーカー113社に女性をターゲットにしたパッケージデザインを提案した。
焼酎の消費が少ない女性層を獲得することで焼酎の消費拡大を図ることを目的に、昨年12月に発足した同プロジェクト。情報誌編集長や百貨店のバイヤー、バーテンダー、鹿児島大学で焼酎学講座を学ぶ学生などの女性メンバー7人と、県酒造青年会からオブザーバー2人が参加。デザインの検討を重ね、出来上がった試作品で「新しい焼酎のかたち」を提案していく。
完成した試作品ボトルは3タイプ。丸底フラスコやコロンのガラス瓶を連想させるギフト用の「フラココ」(720ミリリットル、化粧箱付き、上代3,000円程度を想定)、ビギナーや女子会、観光土産に「お試し感覚」で購入できる手土産用のミニボトル「ムジョカ」(250ミリリットル、数個セット専用箱あり、上代500円程度を想定)、シンプルなワインボトル型で食卓やキッチンになじみやすい家飲み用「クピクピ」(720ミリリットル、上代1,500円程度を想定)。
女性がどのルートで焼酎を知ったのかというアンケートでは、圧倒的に「口コミ」が多かったという。「口コミをしてもらうにも、まず手に取ってもらわなければ始まらない」とプロジェクトメンバーがとことん女性目線で考え、「手に取りやすい、思わず『ジャケ買い』してしまうボトルデザインになった」という。
その後、県内の焼酎メーカーに案内を送付したところ、2社が「前向きに検討」と回答している(4月5日現在)。「あくまでも『新しい焼酎のかたち』を提案するための一案として作ったが、情報誌などで発表したところ、一般の方からも問い合わせが来たり、『案ではなくそのまま使いたい』『ボトルキープしやすい』という声が上がったりするなど、かなり好評。(メーカーに)受け入れられるのかという不安があっただけに驚いた」と同課特産振興係主幹兼係長の上久保真吾さん。「おすすめの飲み方を書いた首下げタグや『キレ』『コク』などのレベル表示なども(焼酎を)手に取ってもらうためのアイデア。デザインそのものを使えなくても、消費拡大のアイデアとして取り入れてもらえれば」とも。
アイデアだけ取り入れられるのか、そのまま商品化されるかはまだわからないが、「女性向けデザイン」という焼酎史上初の試みが一石を投じる形となった。