島津家の秘宝「かっぱの手」公開-鹿児島・尚古集成館で数十年ぶり

尚古集成館や隣の仙巌園に出没するというかっぱ。同展開催中にも会えるかも

尚古集成館や隣の仙巌園に出没するというかっぱ。同展開催中にも会えるかも

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 鹿児島市の尚古集成館(鹿児島市吉野町、TEL 099-247-1511)で7月1日から、島津家伝来の「かっぱの手」が公開される。「夏季特別企画 島津の秘宝」の第1弾。

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 「かっぱの手」は江戸時代、川内川中流の宮之城(現、さつま町)を支配した宮之城島津家に伝わってきたもの。「河伯手入」と書かれた木箱に両腕が収められており、腕の長さはそれぞれ20センチほど。今回、30数年ぶりに一般公開される。

 かっぱの伝承は大きな河川流域に多いのが特徴。当時、頻発していた水難事故をかっぱの仕業に見立てて生まれたという説などがある。鹿児島ではかっぱのことを「がらっぱ」と呼び、県内各地に伝承が伝わっている。江戸時代に編さんされた「倭文麻環(しずのおだまき)」という薩摩藩の伝承・説話をまとめた本によると、鹿児島城下(現、鹿児島市冷水町)や知覧(現、南九州市)、山ヶ野金山(現、霧島市およびさつま町)、坊津(現、南さつま市)などでかっぱの物語があるという。

 鹿児島のかっぱの特徴として、江戸時代の講釈師・伊東凌舍が鹿児島滞在時のことを著した本「鹿兒島ぶり」で、「かわわら、なまりてガラッパと云。(中略)夏は川にすみ冬は山にすむ」と記されている。同館学芸員の岩川拓夫さんは「山にすむかっぱは全国的にも珍しい」と話す。

 同展では「かっぱの手」を切り口に、大蜘蛛(クモ)や天狗(てんぐ)などの鹿児島の物の怪(け)の伝承をパネル展示する。「現代の人間社会にも科学的、論理的なものだけではなく、感情的、呪術的なものも残っているはず。鹿児島の民俗的な話から、私たちの普段の生活を見直す何かのきっかけになれば」と岩川さん。

 営業時間は8時30分~17時30分。入館料は、大人=1,000円、小中学生=500円(隣の仙巌園と共通)。

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