鹿児島「顔」談話会でユニークな研究発表-ネコにも感情・表情

「ネコの表情」について解説する横山春彦・鹿児島大学准教授。

「ネコの表情」について解説する横山春彦・鹿児島大学准教授。

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 「顔」に興味を持つ人々が集まり、情報交換と親睦を図ることを目的とする「鹿児島顔談話会」が11月19日、鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島市郡元1)で開かれた。

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 この談話会は、日本顔学会(J-FACE)鹿児島支部が毎年11月に開いているもので、今年は東京芸術大学の本郷寛さんをゲストに招き、芸術の観点から、鹿児島大学・教授の長岡英一さんと横山春彦さんが、それぞれ医学と心理学の専門的視野から「顔」についての講演を行った。

 美術解剖学の権威で、日本を代表する彫刻家の一人でもある本郷さんは、スライドで古今の作品を解説しながら、頭像の塑造彫刻制作では、「作家がモデルの何を見るかによって作者の技量が問われる」とし、「見えるものしか作れない。人間が人間を追求する作業は模索の連続で、完成形はない」と話した。続いて、医歯学総合研究科教授の長岡さんは、適切な義歯(入れ歯)を使用した場合と、使用しない場合の顔の表情の違いを比較して、「正しく義歯を活用して、『健口』で明るい生活を送ることが健康長寿の秘訣(ひけつ)」と説いた。

 認知心理学を専門とする横山さんは「ネコに表情を認める場合の根拠について」と題したユニークな研究発表で5年間にわたる公園の野良ネコたちの行動観察記録を報告。観察を通して、ネコにも人間関係ならぬ「ネコ関係」があることを証明した。

 横山さんは「ネコにも性格や心があり、それが表情を生んで社会を形成する」ことを、ユーモアたっぷりに話し、写真に写ったネコの表情と行動を解説。ネコ社会に垣間見える人間社会との類似性を「私にはそう見えて仕方ない」と繰り返し、会場に集まった人々を笑いの渦に巻き込みながら、人間関係における心のあり方と行動、表情が生み出す社会について考えさせた。

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