鹿児島・天文館のスペース・ラボ(鹿児島市中町)で6月23日、水彩スケッチの展覧会「天文館三十六景展」が始まった。
同展では、鹿児島市内で水彩スケッチ教室を主宰する浜地克徳さんと、教室で学ぶ生徒の作品が展示されている。「天文館三十六景展」のイベント名は葛飾北斎の「富嶽三十六景」から。
浜地さんは大阪生まれ。大学卒業後は、空間、店舗デザインの仕事をしていた。その後、環境活動を行うため、1999年に鹿児島へ移住し有機栽培農業に取り組み始めた。2005年に体調を崩し、農業を断念せざるを得なくなったとき、永沢まことさんの著書「自分発見スケッチ本」に出会い、スケッチにはまっていった。
「スケッチは目の前にあるものを、迷いなく、楽しんで描く。ここには絵の原点がある」と浜地さん。作品を出展している生徒の濱田やす子さんも「現場に足を運んで描くことがスケッチの魅力。そこで生まれる人との交流も面白い」と話す。
「天文館」をテーマにした同展。4号から15号までの作品60点が展示されている。「東西南北コンパクトな中にいろいろな表情があって面白い。例えば、照国方面は上品、文化通りはわい雑なイメージ。年代に応じた楽しみ方もできる」と浜地さん。濱田さんは「天文館には緑や花が多く、それが魅力的。今回出展した作品には、さらに若者を描き入れて、天文館のにぎわいを表現したかった」と自作への思いを語る。「描く人によって街の表情が全然違う。それだけ天文館という街に魅力がある」(浜地さん)。
天文館の空き店舗を利用して開催する同展。We Love 天文館協議会副会長の俣野公宏さんは「今回は初めてのケースだったが、文化的事業だったためテナントのオーナーの理解を得やすかった。今後の空き店舗活用の一つのモデルケースになれば」と期待を込める。
開催時間は10時~19時。入場無料。作品の一部はポストカードとして、1枚100円で販売する。今月29日まで。