天文館の文学サロン「月の舟」(鹿児島県鹿児島市中町)で1月22日、作家の角田光代さんによるトークライブが行われた。
角田さんは1990年、「幸福な遊戯」でデビュー。2003年には「対岸の彼女」で直木賞を受賞。「八日目の蝉(せみ)」「紙の月」など映像化された作品も多い。何気ない日常の積み重ねをベースに物語を紡いでいく筆致は、女性を中心に多くの共感と支持を集めている。
同イベントは同サロンを運営するNPO法人「かごしま文化研究所」のみたけきみこさんと、武岡の古本屋「つばめ文庫」の店主・小村勇一さんを中心とした有志のメンバーが企画した。
小村さんは「きっかけは角田さんが去年の春に福岡の書店で行ったトークライブ。私は熊本の震災の影響でそのイベントを聞きに行くことができなかった。それが残念でその書店にメールを送ったことが縁となって今回のイベントにつながった」と話す。
去年の夏からは全21回にわたる読書会「角田光代マラソン」や角田作品限定のビブリオバトルなども開催してきた。「せっかく角田さんを鹿児島に招くのだから、こちらもそれくらいの気合で臨まなければと思った」とみたけさん。
当日はみたけさんと小村さんが聞き手となり、角田さんからこれまでの作品の主題や執筆動機などが話された。会場には約80人の観客が訪れ、時折笑い声の交じる和やかな雰囲気の中、熱心に話に聞き入っていた。
観客の女性は「とても貴重な機会。とても真摯(しんし)に話されていて、作品はもちろん、角田さんの人柄も大好きになった」と感想を話した。