牟礼ヶ岡(鹿児島市宮之浦町)で今年も、4月15日、「牟礼の牧神様(まっがんさぁ)祭り」が開催された。
牟礼ヶ岡の山頂にある同神社には、風力発電所の風車の下に「巨巌」と呼ばれる巨大な自然石と、その手前に「牟礼大明神」「馬頭観音」と呼ばれている石祠がある。この三体を合わせて「牧神様」と呼んでいる。
同神社の祭神は「猿田彦大神(さるたひこおおかみ)」と「保食神(うけもちのかみ)」。猿田彦大神は交通安全、厄除開運などにご利益があるとされ、保食神は五穀豊穣(ほうじょう)を願い衣食住の守護神とされる。
「牟礼大明神」は飼料不足などで馬の逃走や病気が発生したことから、馬の安全無病息災を祈願して建立。「馬頭観音」は馬の生産地として有名だった同地方で、農家が牛馬の無病息災と供養、旅の安全等を願い神として祭ったものだといわれている。
同祭りは五穀豊穣や家内安全、牛馬の無病息災を願うため毎年同日を例祭日とし、牧神様を祭った後に「馬踊り」が披露されている。ハンヤ節に合わせて軽快にリズムを刻む馬に、周囲から歓声や拍手が送られた。
毎年祭りを開催している牟礼谷公民館館長の舞田さんは「雨も降らず無事に開催できてよかった。お祭りの記述が残っているのは昭和6(1931)年以降だが、それ以前から続けられている行事。運営している人の年齢も皆60歳以上で年々高齢化している。これから若い世代にこの行事を継承していってもらえればとうれしい」と話す。