鹿児島県特産品協会が主催する「ここでしか聞けない実務に役立つビジネス講座」が2月5日、鹿児島サンロイヤルホテル(鹿児島市与次郎)で開催された。
2回目となる同講座のテーマは「パッケージデザインの考え方・事例紹介」「デジタルワークプレイス構築による働き方改革」。講師は、商品パッケージやウェブデザイン、雑誌の企画編集などを手掛けるオキシゲンデザイン(東京都渋谷区)社長の並木幸太さん。会場には約30人が来場した。
並木さんは実際のデザイン作業に入る前に、事前調査に時間をかけるという。「隣の商品と何が違うのか、どこに置かれるのか、何を一番伝えたいのか? 味にこだわっている? 作り方が違う?」など、「下準備に数カ月をかける」こともあるという。「デザインはすぐできると思っている人が多い。必要な情報が全てそろっているなら1週間でできるかもしれないが、準備ができていない状況でまともなデザインはできない」
並木さんがデザインを引き受ける際は、企画段階から参加することが多く、「どういうメッセージで出せば売れるか」という観点から話し合う。「作り手はいろいろな思いやこだわりがあるが、それを長々と書いても伝わらない。そのストーリーを、デザインでいかに簡潔に伝えるかがデザイナーの役割」
事例の一つとしてトマトゼリー「桃太郎トマト」を紹介。当時発売されていたトマトゼリーの99%が、パッケージにトマトの写真を使っていたという。クライアントからも「撮影にお金をかけてもいい。トマトのきれいな写真を使ってほしい」と要望があった。だが、「他社商品との差別化ができない。トマトが丸ごと入っているのが売り、という点から、赤いパッケージに緑のヘタをつけて、箱ごと赤いトマトのように見せるデザインに至った」という。
「実際のパッケージはエンボス加工などが施されているのでインパクトがある。デザイン自体は緑のヘタを付けただけなので簡単だが、ここに至るまで時間をかけた」。結果として、「もらった人が驚く」効果につながり、売り上げも伸びたという。「メッセージはデザインで簡潔に伝えてほしい」と改めて強調した。
講座の後半では、ウェブポータルを使った企業運営について紹介。ポータル作成ツール「LIFERAY」を例に、顧客用ポータルと社内用ポータルを作り、各種サイトも同ツールで作成、一つのシステムに一元化して管理する方法などを紹介した。