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鹿児島観光資源開発に102の提案-東大・鹿児島国際大の「まち巡り調査」報告で

調査研究チームが注目した昔の名残を今に残す名山町の路地

調査研究チームが注目した昔の名残を今に残す名山町の路地

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 鹿児島市は4月25日、鹿児島国際大学と東京大学の学生たちが中心となって進めた「かごしままち巡り調査」の研究報告書を公表した。報告書には、鹿児島の観光資源開発のための102の提案が盛り込まれている。

鹿児島銀行本店別館

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 この調査は、鹿児島市がプロポーザル方式で、地域振興事業などを手掛けるANA総合研究所(東京都港区)に調査研究を委託していた。

 公表された概要報告書などは、初年度に行われた調査と課題整理、次年度のモデルプランの作成、全国各地の事例を挙げながらの提案と効果検証に分けてまとめられており、鹿児島市のホームページで閲覧できる。

 鹿児島市政策推進課の星野泰啓課長は「若い感性や専門的知見を生かした調査研究結果と、さまざまな視点から生まれたアイデアは、鹿児島市の魅力を再発見するための手法の一つ。これからの行政に生かしたい。提案については今後積極的に各担当部署へ働きかけていきたい」と話す。「各地域や民間でも、この調査研究結果をヒントとして使ってもらえれば」とも。

 調査研究は、地域にとって「当たり前」のものや「気付かれていない」ものなどを観光資源として見いだすための「外から」の視点、地域のにぎわいや活性化のための新たな活動に欠かせない「若者」の視点、旅行や商品に関する情報感度の高い「女性」による視点、これら3つの視点を踏まえ、中心市街地における調査研究については東京大学、谷山・伊敷・吉野・桜島・吉田・喜入・松元・郡山など各地域における調査研究については鹿児島国際大学の学生を中心に進められた。

 鹿児島市では2010年度から、かごしままち巡り推進事業を行っている。これは市街地の空洞化や観光需要の高まりなどを背景に、中心市街地一帯において鹿児島独自の資源を生かしつつ回遊性を向上させるための取り組み。その事業の一環として行われた、今回の調査研究では2010年度、主に鹿児島市の中心市街地を対象として65の提案を行った。

 2011年度は、まちのネットワークづくりにおける拠点として、市民や観光客の出会いや交流の受け皿となる「アーバンステーションカゴシマ(USK)」を、社会実験として導入、鹿児島市の資源や特性を生かしながら、回遊性を高める効果を検証。鹿児島銀行本店別館(国登録有形文化財)など、多くの歴史的建造物の残る、広馬場通りから名山町、みなと大通りにかけての回遊行動を生むことに狙いを定めた同実験では、鹿児島市の観光都市としての高い可能性を指摘。「集客効果を狙うために特にまちの中心部にUSKを設置し、誰もが興味を持ちやすい軽やかなコンテンツでまちへの興味を引き出すことが必要」と述べている。

 また報告書によると、「鹿児島駅前を中心とした上町一帯も魅力的。鹿児島市の品格を象徴する旧市街の街並みが色濃く残っており、すでに多くのまちづくり団体が活動していることから、連携を探ることもできる。歴史文化ゾーンにある既存施設をUSK として用いることは、資源の発掘だけでなく、地域に集まる市民・観光客の面的な回遊の促進につながる」と加えられている。

 各地域における調査研究では、「地域同士の交流拡大を図るにあたり、各地域を俯瞰(ふかん)してみると、そこにはいくつかの着目すべき要素がみえてきた」として、 既存の集客資源、地域の特産物、景色・風景、魅力的な人材などの観点から「谷山アート企画」「しろくま電車」「歩いてたどる幕末の史跡」「噴火待ちCafe」など、37の具体的な提案が示されている。

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