地域資源活用ビジネスの販促活動をテーマにした「地域密着型ビジネスフォーラム2011inかごしま」が7月8日、コミスタ10(鹿児島市東千石町)で開催された。主催は鹿児島県。県内企業の広報や商品企画担当、経営者など約70人が参加した。
第1部では、TIME VIZ(東京都新宿区)のPRプランナー兼クリエーティブディレクターで「市ケ谷経済新聞」編集長の菅野夕霧(ゆうぎり)さんが「ヤフートピックスを狙え~地域資源をネットニュースで全国の話題に」をテーマに講演した。
「ニュースへの接触がPC、携帯電話にシフトし、ヤフートピックスなどのニュースサイト発の話題作りが重要」と菅野さん。「ヤフートピックスには地方発のニュースも掲載される。地域資源の『シンボル』(日本中で語られる『ネタ』)がネットメディアを通じて話題になり、結果として販売・集客につながる」と話した。話題作りのノウハウとして「『専門性』を研ぎ澄ますこと」「『異物』を足すこと」などを挙げ、「アイス専用しょうゆ」「バッハを聴かせたみそ」など過去に話題となった豊富な事例を紹介した。
第2部では、「地域資源活用ビジネスにおける販促活動の現状と課題」と題して、パネルディスカッションが行われた。菅野さんとレクタス(薩摩川内市)社長の上栫(うわがき)祐典さんをパネリストに迎え、NPO法人「ネイチャリング・プロジェクト」事業部長の井上秀幸さんがコーディネーターを務めた。
「鹿児島の企業は真面目」「PRに積極的な企業とそうでない企業との二極化」(上栫さん)という鹿児島の販促活動の現状を捉えた上で、鹿児島で有効なPRを行うための議論が繰り広げられた。ツイッターやフェイスブックなどのSNSの話題が多く上がり、菅野さんは「ウェブ上にベースになるサイトが必要。今後はそれがフェイスブックとなっていく」「まずは、フェイスブックなどを使い既存顧客と関係性を深め、ロイヤリティーを高めていった方がよいのでは」と提案。上栫さんは「密なコミュニケーションをインターネットで取り戻す。薄い関係の1000人より、濃い関係の10人が大事。その10人がお客さまをどんどん連れてくる」と話した。
最後には質疑応答の時間が設けられた。「ネットで取り上げられるための(本質論としての)キーワードは?」という質問に対しては、菅野さんは「『ニュースになる人』がいる。小手先でなく、熱い人」、上栫さんは「『共感』を得ること。モノやサービスそのものよりも『なぜ』それをやっているのかが重要」と、それぞれ答えた。
日夜、全国の話題作りの成功事例を研究しているという菅野さん。「今後、鹿児島発の成功事例が生まれることを期待している」と締めくくった。