鹿児島で天文イベント-「さつま宇宙塾」「星空カフェ」「サイエンスパブ」など

初めての天文イベントを企画した「天プラ」主宰者の高梨直紘さん(東京大学EMP)

初めての天文イベントを企画した「天プラ」主宰者の高梨直紘さん(東京大学EMP)

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 日本天文学会2011年秋季年大会が鹿児島大学(鹿児島市郡元)で開かれるのに合わせ、「さつま宇宙塾」「星空カフェ」「サイエンスパブ」などの天文イベントが9月18日~20日、鹿児島市で行われる。

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 普段、天文や科学にふれる機会の少ない一般市民を対象として企画されたもので、鹿児島での試みが全国初となる。主催は「天プラ(天文学とプラネタリウム普及プロジェクト)」。共催は計算基礎科学連携拠点。

 「天プラ」を主宰する高梨直紘さん(東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム特任助教)は、専門のIa型超新星と呼ばれる天体を用いて宇宙膨張の様子を精査する研究者。「一人でも多くの人に、驚きに満ちた最先端の天文学の魅力を身近に感じてもらえれば」と、共同主宰者の平松正顕さん(国立天文台ALMA推進室助教)らと共に、親しみやすい天文への入り口としてのコンテンツ開発・製作に取り組んでいる。これまで、天文学の知識が印刷されたアストロノミカル・トイレットペーパー(ATP)や、タイピングゲーム「宇宙打(ソラウチ」、全国の学校へ配布された「一家に一枚宇宙図」、「アストロカルタ」などを開発してきた。六本木ヒルズでの観望会も定期的に開き、ユニークな科学普及活動を展開している。高梨さんは「今回のイベントは、そもそも3月に筑波大学で、9月に東北大学で連続行われるはずだった。東日本大震災の影響で急きょ鹿児島大学で天文学会が開かれることになった。鹿児島の皆さんに、面白くて楽しい天文学の世界にふれる機会を提供できれば」と話す。

 「さつま宇宙塾」は18日17時30分~19時、講師の亀谷和久さん(JAXA宇宙科学研究所)が「星の誕生のドラマに迫る」をテーマに講演。恒星誕生のプロセスの解明と観測を実現する望遠鏡の活躍を紹介する。19日11時~12時30分は、「宇宙の明るさを測る」と題し松岡良樹さん(名古屋大学特任助教)が「真っ暗な東京ディズニーランドにわずか3本のろうそくを立てたくらい」と言われる宇宙の明るさを突き止めた天文学者たちの物語を紹介する。同日17時30分~19時は、津村耕司さん(JAXA宇宙科学研究所)が口径10センチ程度の小さな望遠鏡をNASA観測のロケットに搭載して打ち上げ、特殊な観測を行うことで光を捉え「宇宙の一番星」を観測しようというプロジェクトを紹介する。会場は「マルヤガーデンズ」(呉服町)。参加無料。各回定員20人。要事前申し込み。

 「星空カフェ」は、20日14時~16時、「低温度星のまわりの生命居住星を探そう」と題し、ゲストに成田憲保さん(国立天文台研究員)を招き、高梨さんがファシリテーターを務める。太陽より温度の低い恒星(低温度星)を公転する、生命が存在する可能性のある惑星探索プロジェクトについて語り合う。会場は「FUKU+RE cafe」(名山町)。参加費は1,500円(ケーキ、お茶代)。定員20人。要事前申し込み。

 「サイエンスパブ」は、20日19時~22時、ダイニングバー「YOINOYA」(西千石町)でゲストに日本天文学会2010年度天文発見賞、天文功労賞の受賞者、講師として渡部潤一さん(国立天文台教授)を迎え、山岡均さん(九州大学教授)、高妻真次郎さん(中京大学講師)が司会を務め、天文学や星の楽しみを語り合う予定。参加費は3,000円。定員30人。要事前申し込み。

 日本天文学会の「公開講演会」は18日14時~17時、鹿児島大学郡元キャンパス稲盛会館で、面高俊宏さん(鹿児島大学特任教授)らが「天文館から天の川へ~鹿児島で語る最新の宇宙観」をテーマに行う。入場無料。定員250人。事前の申し込みは不要。

 高梨さんは「学会が単なる学者たちだけのイベントではなく、研究者たちと開催地の方々とがふれ合うことでその輪を広げ、気軽に『科学する』サイエンスパブなどが継続的なものになれば」と期待を寄せる。

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