鹿児島の「城山観光ホテル」(鹿児島市新照院町、TEL 099-224-2222)が作るクラフトビール「ロンドンエール」が7月25日から、ホテル内の各飲食店で提供されている。
同ホテルの西側の地下駐車場には、広さ120平方メートル、500リットルタンク6本の小さな醸造所「城山ブルワリー」がある。城山の地下からくみ上げた地下水を使い、1年を通してさまざまな「エール」を醸造している。
「ロンドンエール」は、薩英戦争から150年を迎えること、ロンドンオリンピックが開催されることにかけ、同所で初めて仕込んだ。いつも出品するエールに代え、今回は初仕込みのロンドンエールを出品したところ「ジャパン・アジア・ビアカップ2012」で金賞を受賞した。
専用の酵母を取り寄せて培養し、麦汁に「尾曲養蜂場」(紫原3)の県内産蜂蜜を加えている同商品。麦芽の仕込みから発酵・熟成まで約1~2カ月。「酵母が分解してしまうので蜂蜜の甘味は残らない。風味として少し残っている」「色は普通のビールより濃い目で、のど越しよりも味や香りを楽しむビール」と、醸造技師の川添智子さんは紹介する。
「初めて仕込んだので、金賞を頂けるとは思っていなかった」と川添さん。金賞を受賞したことでホテル内での提供を始めた。現在提供しているのは「ロンドンエール」のほか、小麦で仕込み桜島小ミカンを使った「ベルギーホワイト」、黒糖を使った「スタウト」、にがごり(にがうり)を使った「IPA」など、地産地消にこだわって作るエール。
この小さな醸造所で作るエールはろ過せずに提供するため、酵母が入ったまま(=生きたまま)だ。「酵母にはビタミンB群やミネラル、食物繊維も含まれているので体にいい。ビール(特にクラフトビール)は嗜好(しこう)品という感覚が強く、加えて種類が多い。いろいろな種類を楽しんでほしい」とも。
「ロンドンエール」はホテル内のレストラン4店とバー2店、ビアテラスなどで提供する。価格は店により異なる。提供は今秋までを予定。