鹿児島を拠点とする2つのサッカーチーム「ヴォルカ鹿児島」と「FC KAGOSHIMA」が6月4日、初の直接対決を迎える。
ヴォルカ鹿児島は5月22日の九州リーグ第7節終了時点では、勝ち点17で10チーム中3位。プロ化を目指し名称を公募するなど、チームの変革期にある。一方、FC KAGOSHIMAは昨年3月に誕生したばかりの若いチーム。今年から九州リーグに初参戦し、現在、勝ち点19の2位につけている。
FC KAGOSHIMA代表の徳重剛さんは鹿児島市出身。小学生のころからサッカーを始め、中学卒業後はブラジルへのサッカー留学を考えるほどだった。その後、鶴丸高校、上智大学へと進学し、スポーツクラブの運営に興味を持った。「日本には経営のできるゼネラルマネジャーが少ない」との危機感から、大学卒業後、公認会計士の資格の取得、多摩大学スポーツマネジメントコースへの進学など、経営の勉強を積んできた。2008年7月ごろから、鹿児島のサッカーチーム設立の準備を始め、サッカーチーム「大隅NIFS」「アミーゴス鹿児島」を母体としたFC KAGOSHIMAを発足させた。
FC KAGOSHIMAは7年後のJ2昇格を目指し、まずは今年の九州リーグ制覇とJFL昇格を目標としている。「まずは勝てるチーム作りを。そのためには、選手が常に100%の実力を出すための環境をフロントが整備することが大切」と徳重さん。運営の課題には、「FC KAGOSHIMAの認知度を高めること」を挙げる。
選手側からアイデアを出し、地域の祭りへの参加や巡回スクールの開催、児童養護施設への訪問などで市民との交流を深める。「市民との交流で選手が励まされることも多く、モチベーションがアップする。それによって実力を発揮しやすくなり、勝てるチームにもなる」。ツイッターやフェイスブックなどのSNSも活用し、県内のみならず県外や世界各地に住む鹿児島出身者へのアピールも忘れない。
「鹿児島の人口規模であれば、スポーツビジネスは十分に成り立つ。きちんと計画を練れば、ビジネスやお金の流れを読むことはできる。後はリスクを背負えるかどうか」と決意を見せる徳重さん。「鹿児島の人々は故郷を思う気持ちが人一倍強い。天皇杯決勝の国立競技場の舞台で鹿児島のチームがプレーし、観客が鹿児島県民で埋め尽くされている光景を見てみたい。ゆくゆくはバルセロナみたいなチームを目指したい。実力も強くて、地域に根づいていて誇りを持てるようなチームになれれば」とも。
サッカーで鹿児島を盛り上げたいという両チームの思いがぶつかり合う今回の直接対決。試合の行方に注目が集まる。試合は宮崎県西都市の清水台運動公園で、12時キックオフ。