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鹿児島の景観重要建造物で「ひなまつりサロン」-市民ら100人参加

約100人が集まったひな祭りサロン。

約100人が集まったひな祭りサロン。

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 重富島津家の上屋敷跡地に建つ県民教育文化研究所(鹿児島市春日町)で3月2日、「ひな祭りサロン」が開かれ、講演会やミニバイオリン演奏会などに市民ら約100人が参加した。

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 主催した上町維新まちづくりプロジェクトは、自分たちが住む池之上町をはじめとする「上町(かんまち)」と呼ばれる地区をあらためて見つめ直そうと2008年に発足。同町の、鹿児島における特別な歴史的位置や価値などを再発見することによって、さらに暮らしやすい町づくりを目指すと同時に、その魅力を内外に発信していこうと活動を続けている。今回の「ひな祭りサロン」も、同プロジェクトを構成する「いにしえプロジェクト」の一環。

 当日は、建物の歴史的価値や周辺の景観について、県建築士会青年部メンバーで鹿児島大学工学部准教授の木方十根(きかた・じゅんね)さんが講演した後、参加者たちは建物内を見学。その後、中島宝淳さんが主宰するアンサンブルユヴェールのバイオリン演奏会などが行われ、甘酒やぜんざいも振る舞われた。

 会場となった県民教育文化研究所は1937(昭和12)年~1939(昭和14)年、重富島津家上屋敷跡地940坪に豪商・藤武喜助によって建てられた。建坪は280坪。書院造りと数寄屋造り、アールデコ様式の洋室が混在する、時代を象徴する独特で豪華な建物が特徴。宮大工、職人たちの知恵と匠(たくみ)の技がちりばめられ「遊び心」も随所に見受けられる。総工費は、現在の貨幣価値に換算すると3億円ともいわれている。

 講演の中で木方さんは、「表座敷は10畳と14畳の続き間で構成される格式の高い書院造り。書院部分には屋久杉が使われている。座敷の横幅が4.5メートルあるが中央に柱がない。支えるためには天井部分に相当な工夫が凝らしてあるはず」などと語った。1981(昭和56)年、県民教育文化研究所の施設として運営されるようになり、初代所長を児童文学者・椋鳩十が務めた。2010年には建物を囲む石塀が鹿児島市景観重要建造物指定番号第1号として指定されている。

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