桜島の歴史や観光情報などを紹介するガイド本「みんなの桜島」(南方新社)が刊行され、5月末から県内の書店などに並んでいる。
編集はNPO法人桜島ミュージアム(鹿児島市野尻町)。桜島ミュージアムは2005年3月に設立。体験ツアーやイベント、学習プログラムなどを通じて、桜島の魅力を発信してきた。最近は、桜島の特産品であるつばき油を生かしたソーシャルビジネスにも取り組んでいる。
1年ほど前に南方新社が同NPOに桜島をテーマにした本の制作を打診。「これまでの活動を通じて、蓄積してきた桜島の情報を整理したかった」と理事長の福島大輔さん。「新しい視点で見た桜島の面白い部分」を編集方針とし、桜島に来て日の浅かった同NPOの大村瑛(あきら)さん、兒嶋(こじま)八重さんが主な構成を担当することに。福島さんからの情報提供やアドバイスを受けながら、大村さん、兒嶋さんが実際に現地に足を運んで得た情報などから作り上げていった。装丁は、デザイナーの中園陽子さんが担当。昭和後期まで桜島にあった「桜島グランドホテル」で使われていた包装紙を基に、「長く愛されるようなデザインにした」という。
桜島の歴史や観光情報、まち歩きなどをテーマに全4章で構成する同書。主婦が自宅を開放してオープンしたカフェや、地元のおばあさんが作っている弁当店、島内19の「集落」の見どころなど「普通の観光ガイドなどにはなかなか載らないような」(大村さん)地域密着情報が並ぶ。写真家や文学研究者、伝統芸能従事者などのユニークな視点で桜島を論じた部分も。
「インターネットなどに桜島の情報を体系的に整理しているページは少なく、桜島の情報の掘り起こしは大変だったが、それ以上に楽しかったという思いが大きい」と大村さん。地元の人からは「知らない場所がたくさんあって面白い」との声も。福島さんは「より多くの人に桜島のことを身近に感じて、知ってもらいたい」と期待を込める。
価格は1,260円。県内各地の書店のほか、桜島ビジターセンター、道の駅桜島、桜島レストハウス、道の駅たるみずなどでも販売している。