鹿児島大学の教授が翻訳した不朽の名作「クリスマス・キャロル」新訳本が12月4日、春風社(神奈川県横浜市)から出版された。同23日には天文館で読書会を行う。
イギリスの国民的作家チャールズ・ディケンズの名作で、世界中で何度も映画化・舞台化され、翻訳本も多数出ている同物語。鹿児島大学で英文学を教える井原慶一郎さんの新訳本は、ディケンズが本来の読者として想定していた「大人」にこそ読んでほしいと出版された。
本書では、クリスマスの夜に炉端で繰り広げられる幽霊話が、原作に忠実に、読みやすい語り口調でつづられる。ディケンズに詳しい井原さんの豊富な解説付きで、ディケンズが描いた19世紀ロンドンの時代背景や、クリスマスの本当の祝い方などについても知ることができる。日本初公開となるディケンズ公認のチャーミングな挿絵も25点を収録した。
「泣いて笑える物語。オーセンティックなディケンズ文学を楽しんでもらえるのでは」と井原さん。「スクルージ(物語の中で、貪欲でケチだったが改心していく主人公)に感情移入できなかった人、その面白さが分からなかった人はぜひ読んでみて」とも。
11月には、井原さんほか映画論やメディア論の同大学准教授らが登壇し、刊行記念トークイベントを行った。12月23日は文学サロン「月の舟」(鹿児島市中町、TEL 099-295-3816)で「ガーデンズ文学カフェ」を予定する。井原さんと鹿児島国際大学教授の小林潤司さんが案内役となって定期開催する同イベント。今回は「クリスマス・キャロル」をテーマに、お茶を飲みながら参加者らで語らう場となる予定。
イベント参加費は茶菓子込みで500円。定員は24人。申し込み・問い合わせは同店まで。