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鹿児島の養鰻業者がウナギの人工ふ化に成功、観賞魚輸入会社と共同で

ふ化直後のニホンウナギの仔魚(しぎょ)

ふ化直後のニホンウナギの仔魚(しぎょ)

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 鹿児島の養鰻(ようまん)業者・鹿児島鰻(大崎町菱田)と兵庫県の観賞魚輸入卸会社・神畑養魚(兵庫県姫路市)が9月30日、ニホンウナギの人工ふ化に成功した。これまで国の研究機関が完全養殖に成功し、国内の大学などで人工受精卵のふ化に成功した事例はあるものの、民間の養鰻業者での人工ふ化成功は初めてとなる。

ふ化前の様子

 ニホンウナギは現在、環境省とIUCN(国際自然保護連合)により絶滅危惧種に指定されており、2年後にはワシントン条約締約国会議も控えているため、民間企業での完全養殖の実現が求められている。

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 同社は「水産業界の中でも特に天然資源に頼っているウナギ産業の現状を変えたい」との思いで、神畑養魚の協力を得て2014年春に研究を開始。養殖ウナギはほとんどがオスのため、良いメスをつくるために3年以上を費やしたという。

 同社の社長・斎藤雅之さんは「海面養殖の魚と違い、ウナギは陸地に造られた池で養殖する上、天然のシラスウナギから出荷できる状態まで育てるのに半年~1年はかかるため、酸素を送るためのポンプや水温を保つための設備、飼料など、コストもかかる」と話す。「ふ化仔魚をシラスウナギに育てるのにも数カ月かかるので、ここから先はそれが課題」とも。

 現在、同社はふ化仔魚をつくり、育てるための新しい施設を建設中で、斎藤さんは「どこかがやらないと実現しない。今回人工ふ化の成功を発表したことでほかの企業や大学などもまたにぎわってきたので、自然保護と、消費者の方に安全でおいしいウナギを安定して食べていただくために、早急に完全養殖を実現させ、どんどんウナギ業界を盛り上げていきたい」と意気込む。