「ベルハウジング霧島店 GALLERY」(霧島市隼人町)で現在、沖永良部島出身の画家、東條新一郎さんの個展「はじまりのとき」が開かれている。
同展では、東條さんが「これまでの殻を破った」と話す作品を数多く展示。「穴や凹凸があることで立体にも平面にもなる」など、絵画にはない作品が並ぶ。
一見すると大理石の彫刻のように見えるが、実際はベニヤ板でできているという作品もある。「肌合いから材質を予想してみたり、作品中の階段を歩く想像をしてみたりと楽しみ方はさまざま」と東條さん。
普段は絵画を描く東條さんが新たな分野に挑戦しようと思ったきっかけは、ある幼稚園から来た作品制作の依頼だった。せっかくなら絵画のように飾って完結してしまうものではなく、子どもの感性をより豊かにするものを作ろうと思い立ったという。東條さんは「作品の上や中に果物や花、ピエロなどを置くと景色が変わり、新しい物語が生まれる。作者と先生と子どもの3人で完成させてほしい」と狙いを話した。幼稚園に送った作品と同じものが同展でも展示されている。
テーマである「はじまりのとき」には、東條さんが新たに見出した芸術観だけでなく、新型コロナウイルスと共存した生活をしなければならないという、新しい時代を迎えている社会へのメッセージが込められているという。今回展示している作品は今年に入ってから作った新作のみ。「作品を自由に見て、自分で物語を作り、自分の世界を作ってほしい」と来場を呼び掛ける。
営業時間は10時~19時。水曜定休。6月28日まで。