南九州市で現在、全国の学生100人とお茶農家をオンラインでつなぎ、「自分なりのお茶の飲み方」を発見していくプロジェクト「TEA LABO(ティーラボ)」が進んでいる。
10月17日・18日にオンラインで行われた「ワークショップday1」
今年が初めての開催で、運営は「オコソコ」(南九州市頴娃町)と、就活イベントや「学生が地域に出る」のをサポートする任意団体「はたおり」(鹿児島市)。昨年11月ごろ、同市から「若者に向けて知覧茶の消費拡大をしたい」という相談を受けたのがきっかけだったという。
8月下旬から9月下旬にかけて行ったオンラインでの募集には全国の学生から168人のエントリーがあり、定員の100人に絞った。参加者の内訳は「関東在住が多く、次いで関西、鹿児島、九州。北海道や東北、中国地方、沖縄などからの参加もあり、まさに全国の学生が集まった」と事務局の高橋空雅(くうが)さん。
開催期間は10月~来年2月の約5カ月間で、プロジェクトではまず、学生にドリップバッグと茶菓子、耐熱グラスを送付。南九州市のお茶に触れてもらった後、10月17日・18日の「ワークショップday1」ではお茶農家や同市茶業課とオンラインで意見交換を行った。次の「実践期間」の間に、学生はそれぞれ「自分なりのお茶の飲み方」を模索し、11月14日・15日の「ワークショップday2」オンライン会議でシェアした。
学生が考えた飲み方には、お茶をミントやライムと合わせた「モヒート」として楽しむ方法や、手作りの梅シロップと混ぜた「セパレートティー」、「地元の窯元で買った茶器で知覧茶を入れる」などの例があった。「外出先で茶葉から入れたお茶を飲む」ため、水筒のふたとボトルの間に茶葉を収納できるフィルターを3Dプリンタで制作した参加者もいたという。
「オンラインで全国の学生とつながることができることに希望を感じた。オフラインだとなかなか実現できないスタイルがオンラインだと可能になる。参加した皆さんはお茶がとても好きだと分かった。お茶の楽しみ方は無限大だと教えてもらった」と高橋さん。
「このプロジェクトを通して知覧茶を体験し、農家の思いを知り、自分なりのアレンジを考えるプロセスを経ながら、一緒にお茶を楽しむ仲間を増やせたのでは。お茶農家が若者のリアルな声を知り、若者がお茶産業に向き合う機会を広げることが消費拡大への第一歩になると思う」とも。
学生が考えた「自分なりの飲み方」は冊子にまとめ、来年2月に発行する。プロジェクトの参加学生も冊子制作に協力する。冊子は県内各地のお茶を扱う飲食店などに置く予定。