鹿児島県湧水町の田園地帯に民間の図書館「友愛湧水文庫」(湧水町稲葉崎)が開館して2カ月がたった。
鹿児島大学名誉教授・木村朗さんと鉄道車両を管理するGS(湧水町稲葉崎)の山口武文社長が昨年11月1日、共同で開設した。昨年3月に鹿児島大学法文学部を退官した木村さんが本の活用法に悩んでいたところ、友人の山口さんが自宅近くに所有する古民家を改装して図書館にすることを提案したという。
同館の広さは約120平方メートルで、平和学を専門とする政治学者・木村さんの40年にわたる研究生活で集めた書籍約1万冊と、山口さんが寄贈した約1000冊が収められている。木製の書架や閲覧スペースは全て山口さんの手作り。本はジャンル別に分けて並べてあり、近現代政治や哲学、原爆投下や基地問題など多岐にわたる。童話や漫画本を集めた子ども向けの書架もある。
木村さんは文庫名となった「友愛」に込めた思いを「戦争や暴力、力の論理ではなく、話し合いと協調が大事」と話し、「実物の本を手にすることで物事への理解が深まる。たくさん利用して若い人に政治へ関心を持ってほしい」と期待を込める。同文庫を管理する山口さんは「本を読んで本の種類の多さや魅力を知ってほしい。他の図書館に行くときよりも気軽に来てほしい」と来館を呼び掛ける。
図書館内に電気設備が無いため、開館時間は朝から日没まで。来館の際は山口さん(TEL 090-5732-3700)まで事前の連絡が必要。蔵書の貸し出しは自由。