「かごしまカヤックス」(鹿児島市)代表の野元尚巳さんが2月13日、約6週間にわたる「世界自然遺産 奄美トレイル」の全線踏破プロジェクトを終えた。
鹿児島湾の「海中温泉」や溶岩地形をシーカヤックで楽しむ「桜島GEOツアー」のガイドを務める野元さん。鹿児島県が奄美群島でコース選定を進める同トレイルの「魅力発信と認知度向上」を目的に、コース選定にも関わった野元さんが今回のプロジェクトを主催した。
同トレイルは1月20日の時点で14エリア51コース(約550キロ)が開通している。10キロ前後のバックパックを担ぎ、1月5日に喜界島をスタートした野元さんは、奄美大島、加計呂麻島、徳之島、沖永良部島を経て今月13日、与論島でゴールした。
島と島の移動には飛行機やフェリーを使った。これまでシーカヤックで沖縄本島から鹿児島市の磯海水浴場までの1000キロ、アラスカのジュノからカナダのバンクーバーまでの1800キロなど、島から島へキャンプしながら海洋の旅を行ってきた野元さんだが、「移動にカヤックを使うと行程が読めない。特に冬場は海がしけるため、かなり厳しい。カヤックは夏がいい」と話す。
宿泊にはホテルやゲストハウスも利用した。本来はテント泊が野元さんのスタイルだが、コロナ禍でキャンプが可能な公共の場を閉鎖している自治体もあったという。それでもテント、寝袋、スリーピングマット、2食分の食料、調理道具は常に携帯し、「いざというときにはいつでもキャンプできる」状態を維持した。
野元さんが歩いた距離は約700キロに及ぶ。本コース自体は計550キロだが、奄美大島や徳之島などでは地形上コースがつなげられない箇所もあり、コースとコースの間に「接続区間」があるという。「接続区間だけで20キロ以上になるところもあり、接続しか歩けない日もあった」と野元さん。
プロジェクトの期間中、野元さんは自身のフェイスブックページに歩いたルートのGPS画像や、撮影した風景写真を随時投稿した。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、請島、与路島は上陸自体を控えることになり、歩いていない。
これから全踏破に挑戦したい人には「島それぞれの風景を楽しみながら、不便なことも一つの特性だと思ってほしい。水が無かったり、宿が無かったりするのは当たり前。時が止まっているような、違う時間が流れる、そんな非日常を楽しんで」と助言する。