ロシアの代表的民芸品マトリョ―シカに「西郷どん」や「篤姫」、昔話の主人公などをデザインした「SATSUMAマトリョ―シカ展」が4月23日、鹿児島の雑貨店「バグダッドカフェ」(鹿児島市郡元4、TEL 099-254-4184)で始まった。
マトリョ―シカは胴体の部分で上下に分割でき、中には少し小さい人形が入っている。これが何回か繰り返され、人形の中からまた人形が出てくる入れ子構造になっている。
展示会を開くのは、ロシアからマトリョ―シカを輸入・販売している「ゆう工房」(鴨池1)。同社では当初、ロシアの民芸品としてマトリョ―シカを輸入していたが、2006年から「鹿児島の観光土産品」として、「西郷どん」「篤姫」などのデザイン原案をロシアへ送り、現地の職人の手描きによる「SATSUMAマトリョ―シカ」を製造、輸入して県内外で販売している。
代表の上床深生(うわとこ・みお)さんは「東京や福岡の東急ハンズやパルコをはじめ、上野駅構内のレツェプト、岡山のシファカといった有名店などでの直売やネットでの通販など実績は積んできているが、地元での認知度が低い。主なデパートや観光施設などに置いてはいるものの反応はいまひとつだった」と言う。
そこで、子供連れや若い人たちが訪れるカフェなどに展示コーナーを設けたところ好評だったことから、「地元に根付いた雑貨店などで鹿児島の人にマトリョ―シカの魅力を知ってもらえれば」と、同店での開催となった。
上床さんがマトリョ―シカを扱うことになったきっかけは、ロシア料理店「凡亭」(山之口町)を営む母親が料理の勉強のため、ロシアに行く度に買い求めてきたマトリョ―シカが500体ほどになったある日、上床さんが「西郷どんのマトリョ―シカがあったら楽しいよね」と発した一言だった。
早速、福留(磯山)珠美さん(tama.cafe’)に、西郷さんマトリョ―シカのデザインを依頼、「DONDON-SAIGODON」が生まれた。6重の入れ子の6番目には西郷さんの愛犬「つん」が出てくるなど、福留さんのアイデアと遊び心が詰まっている。
これまで「ゆう工房」では、13種類のマトリョ―シカを考案・制作している。「ロシアには輸送システムが確立していないため、デザインを送っても6カ月以上も待たされることがあった」と初期の苦労を話す上床さん。「今は順調に生産されてくる」と笑う。「鹿児島のお土産として全国へ広めていきたい」と抱負を語る。
福留さんは「全て手描きで、一つとして同じものがない」とマトリョ―シカの魅力を語る。「これからは、自分が白木に直接絵付けをして、オリジナル作品を制作したい」とも。
マトリョーシカのルーツにはいくつかの説が挙げられている。19世紀末、箱根に来たロシア人修道士が、本国へのみやげに持ち帰った箱根細工の入れ子人形(こけし・だるま・七福神)がマトリョーシカの原形となったという説もあり、日本でも根強い人気がある。
価格は、「DONDON-SAIGODON」=3,390円、「さつまのシンボル」(篤姫、西郷さん、芋焼酎、黒豚、桜島)=3,570円、「桃太郎」(桃太郎、犬、猿、キジ、鬼)=3,570円、坂本龍馬=5,560円など。
バグダッドカフェの営業時間は11時~19時(日曜・祝日は12時~)。