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鹿児島・西伊敷に地産地消の「エコ住宅」完成-国内初・シラスブロックを建材に

設計を担当した「ARAY Architecture」の鈴木亜生(あせい)さん(右)と、施工の「タグズハウス」徳永功一郎さん(左)

設計を担当した「ARAY Architecture」の鈴木亜生(あせい)さん(右)と、施工の「タグズハウス」徳永功一郎さん(左)

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 鹿児島・西伊敷に7月、鹿児島の地層を成す「シラス」を初めて建築に使った地産地消のエコハウス「SHIRASU」が完成した。設計は「ARAY Architecture」(東京都港区)の鈴木亜生(あせい)さんで、施工は「タグズハウス」(鹿児島市本名町)。

シラス台地の崖をイメージした家の形状

 依頼主からエコハウスの要望を受けた鈴木さんは、鹿児島市電の軌道緑化を見て発想を得たという。2億5000年前から火山の噴火により鹿児島の台地に堆積してきたシラスは、その高保水性能を生かして鹿児島市の中心市街地を走る鹿児島市電の軌道緑化の舗装基材に利用されるなど近年注目を浴びる資材。ヒートアイランド現象の緩和に貢献するだけでなく、地産地消の資材である点が全国でも評価されている。「気候と地質は密接に関わっている。鹿児島でシラスを使うのはとても自然に即した発想」と鈴木さん。

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 ストーンワークス(大崎町)との協働により計画当初より検討が重ねられ、「シラス平板ブロック」を住宅の内壁と外壁に積み上げた。高温多湿な気候の鹿児島で、シラスの断熱性・調湿性・蓄熱性に優れた特性に着目し、舗装用のブロックをシラスの配合を変えて強度を高めている。「シラスブロックを使うことにより、空調設備がなくても、夏は涼しく、冬は暖かい住まいを実現する」という。内壁のブロックにはシラスの原石を埋め込み、切り出した断面をそのまま生かす。「新築された時点ですでに歴史や記憶を持っているという点が魅力。博物館のような雰囲気」と鈴木さんは目を輝かせる。

 「機械に頼るのではなく、自然エネルギーをうまく取り入れることで内部環境をコントロールすることを念頭に設計した」という同住宅。桜島、錦江湾からの海陸風を家の内部に取り込んで、1階の熱気を2階の天井窓から逃がすようにピラミッド状に積み上げられた壁や、西日が差すころに敷地内に木陰を落としてくれる樹木なども、部屋の快適環境を維持する仕組みの一つだ。

 「シラスの新しい可能性や地域性を県内の皆さんにも知ってもらえれば。県外に向けては今後研究を重ねて、さらに可能性を提示していきたい」とも。