濵田酒造(鹿児島県いちき串木野市)が8月24日、焼酎蔵・薩州濵田屋伝兵衛の木桶蒸留器を5年ぶりにリニューアルした。
金属製の蒸留器が主流の現代、「創業時の明治時代の製法を再現し、本格焼酎の歴史を後世に語り継ごう」と木桶(おけ)蒸留器による焼酎造りも続けてきた同社。5年に1度の周期で交換している。新しい木桶蒸留器の直径は約150センチ、高さは約145センチ。「日本でただ一人」という焼酎蒸留用の木樽職人、津留安郎(つどめやすろう)さんが約2カ月半かけて製作した。
釘も接着剤も使わず、全て手作業で仕上げるという。材料は樹齢80年以上で直径60センチ以上の杉の木とたるの箍(たが)に使う竹のみ。「木の香りが焼酎に移り、独特の香りや味わいが出てくるのが特徴」と同社。「ステンレスに比べると熱伝導率は劣るが、その分ゆっくりと熱が発散されるうえに、木桶の隙間からガスやアルコールが少しずつ抜けるため、柔らかくて上品な口当たりに仕上がる」とも。
同社取締役の濵田光太郎さんは「一番こいごいと(濃く)サツマイモの味わいを引き出す。この焼酎造りを守り続け、伝統産業の継承につなげていければ」と意気込む。
新しい木桶蒸留器は木の地肌(無垢)のまま納品されているが、9月下旬には防腐・防虫対策として柿渋を塗る。この効果で深い茶色の木桶蒸留器となるという。