鹿児島県伊佐市の「曽木の滝公園」内に古民家カフェ「野草庵 おばあちゃん家」(伊佐市大口宮人)がオープンして2カ月半がたった。運営は「やさしいまち」(同)。
同園内に昨年5月オープンした「伊佐薬草の杜 野草薬草館」も手掛ける同社。野草や薬草を使った料理を提供するため、7月23日、同店を開いた。店名には「おばあちゃんの知恵を毎日の暮らしに取り入れてほしい」という思いを込めているという。野草アドバイザー兼フロアー担当の春山さんは「フロアスタッフのほとんどが60歳以上で、昔の豊富な食体験や知恵を持つ人材。お客さまに身近な野草や薬草についてアドバイスもしている」と話す。
鹿児島最大の盆地である大口盆地に位置する伊佐市は「山々に囲まれた土壌はミネラルが多く水も清らかなので、野草や薬草が育つのに恵まれた環境」と春山さん。メニューは野草研究家の山下智道さん監修の下、地元で採れる野草や薬草を主に使って開発したという。
古民家は1889(明治22)年、岐阜県飛騨市に建てられた「旧河戸邸」。飛騨市が薬草を地域資源として生かし、健康作りを目的としたまちづくりに取り組んでいたことから同社との交流が始まり、築130年を超える歴史的にも貴重な建物が空き家になっていたことで移築が決まったという。
1階にテーブル席32席、2階にテーブル席48席。2階席からは「曽木の滝」が眺められる。「雪の重みに耐えられるよう骨太な柱や梁(はり)は、いろりの煙で燻(いぶ)されて落ち着いた雰囲気を出している。2階には手斧(ちょうな)仕上げで面を施した丸太をそのまま使っている」とも。
看板メニューは、オオバコ、タンポポ、イノコヅチを使った「若返る、美しくなる 美活膳」(1,200円)で、野草ぎょうざ、茶そば、煮しめ、甘酒などが付く。そのほか、鍋物(メドハギ茶とカツオのだし)、小鉢、しそジュースなどが付く「おばあちゃんのおもてなし野草膳(二之膳付)」(1,880円)や、かゆ(メドハギ茶がゆ、クチナシの実がゆ、雑穀がゆの日替わり)、野草の天ぷら、小鉢、しそジュースなどが付く「日替わり薬膳がゆ おかゆさん」(1,000円)などが「お薦め」(内容は季節や天候により変更あり)。
薬草茶も販売しており、「メドハギ茶」(250グラム=2,800円、16パック2,800円)、スギナ茶とメドハギ茶をブレンドした「美活茶」(31パック=2,200円)、「桑の葉茶」(150グラム=1,800円)など(以上、全て税別)。
春山さんは「野草には天ぷらや和え物にするとおししいものもある。雑草と思っていた身近な野草や薬草が食生活に取り入れられることを知ってもらうきっかけになれば」と話す。
営業時間は10時~19時。駐車場約200台。